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   〈vol.7〉松原美砂さん (高校教諭 小杉町在住) 「取材日2005.04.20」

今回は、富士山頂にも設置されているものと同じ、バイオ式トイレを設置するなど、環境に配慮したライフスタイルを送っている松原美砂さんにインタビューしてきました。松原さんよろしくお願いします! 松原夫妻
写真右:松原美砂さん 左が夫の松原武晴さん

 松原さんのライフスタイル?

カズ:松原さんの自宅は環境に配慮した設計なんですね。

自宅外観
自宅の外観

松原さん:入居して丸4年が過ぎましたが、計画段階から、雪対策など富山の自然環境に合わせた設計にするとともに、材料は自然に還るものを利用して建てました。例えば断熱材には、普通はウレタンやグラスウールの断熱材が使われているのですが、この家は外国製の炭化コルクを使っています。窓は二重ガラスの木製サッシです。
 また暖房は薪(まき)ストーブを使っており、建てたときの端材は燃料に利用するなど、ごみがあまり出ませんでした。
 いつになるかはわかりませんが、将来家が無くなるとき、ごみをできるだけ出ないように考えて建てたんです。

カズ:薪ストーブはいかがですか?

薪ストーブ
薪ストーブ

松原さん: 薪を燃料にしていることから、我が家では灯油は一切使っていません。冬期は洗濯物が良く乾くし、結露しないので北陸ではいいものだと思っています。また夏でも煙突から空気が流れるので、留守中家を閉め切ったときでも空気の流れができて涼しいですよ。
 買ったときは高かったけど、環境への負荷、実感する豊かさを考えると満足しています。
 私たちは、無くても困らないものは買わないことにしています。例えば5回我慢して1回いい物を買うことにし、買うときは長く使える物、環境に配慮した物を買うことにしています。
 また、最後にどうなるかということを考えて、見てのとおりプラスチック製の製品は置いていません。食器や日用品などは全て木や金属、陶器製の製品を使っています。


 バイオ式トイレ

カズ:バイオ式トイレはいかがですか。

松原さん: はい。バイオ式トイレとは、微生物の力でし尿を分解し、汚水を放流する必要のない設備です。以前、入善町の喫茶店に行ったときにバイオ式トイレがあったので、オーナーに説明を聞き、我が家でもできるのではないかと思い導入しました。
 また、我が家では汚れた水を流さないように、日々の生活で合成洗剤は一切使わず、ネット販売で買った自然の石けん(オリーブ石けん)を使っています。

カズ:処理の方式はどうなっているのですか?

松原さん: 便器は簡易水洗式のものを利用しています。使用後は放水レバーを用いて少量の水で流します。
 トイレの下には発酵槽があり、8時間に1回スクリューが回っておがくずとでし尿を攪拌します。
 槽内の微生物の活動でし尿を分解し、発酵熱(60〜70℃)により水分が蒸発します。
 完全に発酵処理したおがくずは、無臭の有機肥料になります。

トイレ 発酵槽
トイレ 発酵槽

カズ:メンテナンスはどうですか?

発酵槽内部
発酵槽の内部

松原さん: 2ヶ月に1回程度、バケツ2杯程度の堆肥を排出し、その分おがくずを入れておけばOKです。バイオ処理がうまくいっているので発酵槽から臭いはありません。堆肥は庭で肥料に使っていますが、花や野菜がよく育ちますよ。
 また配管内の結露のために水抜きが必要なんですが、メンテナンスは簡単ですね。ただ、故障したときに東京から来てもらわなければならないので、その点不安な面はありますね。
 おがくずの入れ替えなど手間暇はどうしてもかかりますが、それを楽しいと思ってやればいいんです。便利さが追求された世の中で、不便さをどれだけ楽しめるかですね。

 皆さんへのメッセージ

カズ:松原さんから読者の皆さんへメッセージをお願いします。

松原さん: ヴィクトール・フランクルというナチスの収容所から生き残ったユダヤ人の小説「夜と霧」において、「私が人生に何を期待するのではなく、人生が私に何を期待しているのか?」が重要という一節があります。
 「こうだったらいいなぁ」「ああなればいいな」という思いが前者ですが、そうではなく、自分の人生を見たときに、今の私に人生が何を期待しているのか、今何をすることを求めているのかということが大切なんだと私は思いました。
 その「人生」という言葉を「環境」とか「自然」という言葉に置き換えてみると、今の自然破壊や環境問題というものの解決の糸口が見えるのではないかなと考えています。
 私たち人間は、自然に対して求めるものは多いですよね?「癒し効果」だとか、花粉症対策でスギ花粉が飛ばない杉を作ったりしますよね?それは私達が自然環境を作り変えているわけですよね。
 20世紀はずっとそういう考え方で自然や環境を人間の思い通りにしてきて、それが今破綻してきているのなら、フランクルさんの後者の考え方で、今とは逆の発想をして自然や環境が私たち人間に何を期待しているのかという視点から見ていくことが大切なのかなと思います。
 もう一つ、「星の王子様」という絵本がありますが、この本に出てくる「キツネ」が「心で見なくちゃ物事は良く見えないってことさ、肝心なことは目に見えないものだよ、大切なことは目に見えないものだよ」ということを王子様に言っているんですね。
 これも「環境問題」を考えるときにとても大切なことかなと思います。私たちは物質的な豊かさを求めているが、豊かさを感じているかというとそうではない。「感性」、つまり人間が持っている感じる力、目に見えないものをどう感じるかですね。
 地球の歴史が40億年だとしたら、その歴史が私たちのDNAに組み込まれていると思うんです。そういうものを呼び起こしていくというか、知識とかデータとかだけじゃなくて、自分の感じたり、自分の感覚というものを研ぎ澄ましてもいいのかなと思っています。それって目に見えないじゃないですか、感じたりとか、においとか、音とか、感触とかですね。
 私は「環境」と言った時に、「環境」だけが取り出されてしまうというのはどうかと思います。本当は今問題になっている国際問題だとか、福祉の問題だとかいろいろな問題が全部根っこでつながっているような気がします。そういったことが「フランクル」さんの言葉であったり、「星の王子様」の言葉であったりするんですが、「環境」を取り出してどんどん細分化されていくことにまた危機感を感じます。
 「環境」だけを取り上げ、そこにせばまっていくと、「内輪受け」だけであまり広がらないというか、環境団体なんかの内輪だけで終わるだけの感じを受けたりするんですよね。だんだん一般社会から乖離していくのはあまりよくない、自己満足ではね。
 色々な流れの中で結果的に「環境」にいいことをやっていけばと考えています。
 私は生徒と接する機会が多いから思うのですが、若い人たちはすごい危機感を持っていますし、吸収する力、「環境」に対する関心というのは強く、能力もあると思うんです。じゃあそれを阻むものはなんだろうって考えると、実は大人であったり、既存の社会システムであったりするのではないでしょうか。
 生徒達は純粋な世界、学校という守られている枠の中では「そうだ、いいことをしよう!!」って思っていいことをするけれども、実際に社会にでたときにそれだけでは生きていけないという現実をきっと彼らは感じるんだろうなぁと思います。実際私たちより彼らの方が長く生きるわけじゃないですか。彼らを被害者にするというか、私たちが彼らを痛めつけているということは悲しいことですよね・・・難しいのは若者に説明するより、同世代以上の人たちに話すほうが困難さを感じます。全てではないけれど、そういう人が多いと思います。これからの世代に絶対に負担をかけちゃいけないと思いますね。

カズ:松原さん今日はありがとうございました!!

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