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  〈vol.2〉竹内茂彌先生(富山大学名誉教授 放送大学富山学習センター客員教授)
「取材日2004.12.14」

今回は、ごみ問題を始め広く環境問題に熱心に調査・研究を進められている竹内茂彌先生にインタビューしてきました。

― 竹内茂彌先生のプロフィール − 
【経歴】 昭和40年8月富山大学教育学部助手となり、講師、助教授を経て、昭和60年4月教授。専門は「環境と高分子」で、自然環境化での微生物により分解するグリーンプラスチックに関する研究、グリーンケミストリーの推進、環境先進国の環境保全施策などについての調査を行っている。平成16年4月から富山大学名誉教授、放送大学富山学習センター客員教授。
【著書】 ひろがる高分子の世界」、「環境と科学 ―グリーンケミストリー入門―」、「グリーンプラスチック最新技術」など

 

 竹内先生の専門は?

カズちゃん(以下カズ):竹内先生の専門は何ですか??

竹内先生(以下先生):私の専門は、「環境と高分子」です。土壌中や水中で分解する、環境に優しいプラスチックについて研究を行ってきました。

竹内茂彌01

 先生が環境に興味を持たれたきっかけは??

カズ:先生は、どうして環境問題に目を向けるようになったんですか?

先生:廃棄プラスチックがごみ問題、環境問題で騒がれたとき、自分が研究しているプラスチックが悪者になるのは非常に困ると思ったからですね。
 私はかつて新しいプラスチックの合成の研究をしていましたが、十数年前からプラスチックが環境に与える悪い影響をどうやったら少なく出来るのか、また現在の石油から作るプラスチックから、環境負荷の少ないグリーンプラスチック(生分解性プラスチック)に替えていくためにはどうしたら良いかの研究を始めました。
 またそこから、廃棄物の問題や資源・エネルギーの問題など環境問題全般に広く目を向けるようになったんです。

カズ:うーん・・・ごみ問題からエネルギー問題まで幅広いんですね。

 先生の活動??

カズ:先生の活動について教えてください!!

先生:@富山大学での取り組み
 平成12年に富山大学生協の理事長になった時に、環境に配慮するという考えからタバコと清涼飲料水の自動販売機を撤廃することを提案しました。タバコの自販機については、「健康増進法」など社会情勢の変化もあり、今年度完全撤廃されました。全国大学生協では早いほうです。
マイカップ・デポジット 清涼飲料水の自販機は、3年前からデポジット制を導入しました。デポジット制とは、飲料に紙コップ代を上乗せして販売し、返却するとコップ代(10円)が戻ってくる仕組みです。
 さらに今年(平成16年)の10月には、マイカップ・デポジット制の自販機を導入し、自分のカップを持参した場合は紙コップ代を値引するなどごみを減らす取り組みを進めています。
こうした富山大学生協の環境保全の取り組みは、全国の大学生協でも評判になり、今では「環境の富大生協」と呼ばれるまでになったんですよ。
 また、生協購買部でレジ袋を渡さないようにもしました。レジ近くに袋を置き「レジ袋が必要な人はどうぞ」という方式にしました。
 さらに、レジ袋が必要な人は金額は定めず、箱にお金を入れていってもらう方式にしたところ、随分使用量が減りました。
 学生は買った商品をリュックやバッグに入れて持ち帰る方法が次第に定着してきているようです。
竹内・教科書 また、他の先生方にも協力いただいて、大学2年生を対象に環境に関する講義も行っています。前回インタビューされた三神さんや県環境政策課の方にも非常勤で講義をしてもらっています。ドイツからも講義に来ていただいた時もあります。

A学会の活動
 GSCN(グリーン・サスティナビリティ・ケミストリー・ネットワーク)という日本化学会、高分子学会、化学関連企業などで作った組織で「高分子学会」の代表として参加し、教育部会の副座長を務め、化学の立場で環境にどう貢献するかについて議論しています。
 平成14年には「環境と化学 ―グリーンケミストリー入門 ―」という学生向けの教科書を編集し、出版しました。富山大学の環境の講義でも使っています。

B環境先進国の調査研究
 平成13年に環境先進国といわれているドイツ、デンマークへ視察に行ってきました。廃棄物処理施設、廃棄物処理の考え方、最終処分場、自然エネルギーの利用の状況など、ごみ問題や環境問題全般に関して、そのシステムが非常に進んでいると感じました。
 日本は資源のない国なのに無駄使いをしているとつくづく思いましたね。良いところは見習い、どんどん取り入れてごみ問題を解決しなければいけませんね。

CNPO法人グリーンアーツコミュニティー利賀
 平成15年に「利賀の自然、演劇など有形無形の資源を活用した文化交流事業と人材育成など」の目的で設立されたNPO法人(竹内先生が理事長)ですが、その事業の一つに利賀の自然を利用した環境教育として、「子どもふるさと体験ツアー2004」(富山大学の学生達が参加して、利賀の自然の中で子ども達と交流してもらう)を始めました。
 今年は、8月22日〜25日にスターフォレスト利賀という研修施設を利用して2泊3日で行いました。主に関西方面から11人の小・中学生が集まり、学生達と交流しましたが今後は年2回はやりたいと考えています。
 県内の子どもさん達もぜひ多数参加して下さい。大学生のお兄さんお姉さんたちと利賀の自然の中で色んなことが楽しく学べますよ!

 メッセージ

カズ:先生からメッセージをお願いします。

ドイツのゴミ事情先生:私は、本当にゴミを減らしたいと考えるなら、モラルに訴えるだけでなく、環境先進国のようにごみの排出量に応じて料金を支払う方式を取り入れることが必要だと考えています。税金で処理するのではなくてね。
 日本では廃棄物処理に関する立派な法律も整備され、環境問題に関する情報もいっぱいあるのですがなかなかごみが減らないのは、モラルに頼る部分が多いからではないでしょうか?
 例えば、ドイツやデンマークでは、リサイクルしないごみを出すのにお金を払う必要があり、一家庭当たり年間1万円前後になるそうです。
 一方、リサイクルルートに乗る製品を購入し、そこから廃棄された資源ごみに関しては黄色い袋で(写真参照)無料回収してもらえるシステムが出来ていて、ごみの料金が減るようになっています。
(環境先進国ドイツのごみ事情などについては次号に詳しく掲載します)
 このように海外に良い例はたくさんあります。「日本と外国は考え方が違う、文化が違う」などと言われたことがありますが、これは文化でも何でもないし、「地球規模」で考えねばならない大切な問題だと思いますね。

カズ:竹内先生今日はありがとうございました!!

 編集後記

 私が学生の時、大学生協でのレジ袋の使用量がどんどん減っていったのが不思議に思っていました。今日のお話を聞いて、自分の見えるところ、または見えないところで色々な人たちが環境に関して考え、行動をしていることに気が付きました。もっと多くの人達に伝わればいいし、伝えていきたいと思います。
 次回は竹内先生の「〜環境先進国ドイツのごみ事情編〜」です!
 どのようなお話が聞けるのか楽しみにして下さい!!(カズ)

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